地球大気の最上部
地上に存在する大気は空のどこまで続いているのでしょうか。
雲が発生したり雨が降ったりする気象現象が起こる「対流圏」と、オゾン層がある「成層圏」はよく知られていますが、その上にも、「中間圏」、「熱圏」、「電離圏」、「プラズマ圏」という名前の大気の領域が広がっていて、宇宙空間と地球との境目になっています 。このような領域 は「超高層大気 」と呼ばれ、国際宇宙ステーションが飛んでいる高度400kmは「熱圏」と「電離圏」の中にあります。宇宙ステーションの周りやその上には空気が無いようにも思えますが、実際には空気があり、風も吹いています。
地球超高層大気で起こる乱れ
下の図はGPSを使って観測した2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の1時間後の高度300kmの電離圏の変動を表して います。震央付近を中心として同心円状の縞模様が見られますが、これは、地震によって作られた空気の波(音波)が地表から上へ上へと伝わり、国際宇宙ステーションの近くの大気を揺さぶった 為に出来たものです。このように超高層大気では、オーロラのよう な宇宙空間からやってくるものと、地表付近などで作られる大気の乱れとが混ざり合っているため複雑な変化をしていますが、観測が難しい領域なのでこれまで解明が進んでいませんでした。
2011年3月11日 15時46分(地震1時間後)の日本上空の全電子数変動の様子。